交通事故

 加害者が任意保険に加入している場合には、保険会社と交渉することになります。

 保険会社の基準は、裁判所の基準よりも低いので、弁護士に交渉を依頼して、裁判所の基準でまとめてもらうようにした方が有利です。

 加害者が自賠責保険にしか加入していない場合には、自賠責保険の被害者請求を行います。

請求できる損害

(積極損害)

1 治療関係費

2 入院雑費

3 交通費

4 付添看護費

5 将来の介護費

6 装具・器具購入費等

7 家屋改造費等

8 葬儀関係費

9 その他文書料等

 

(消極損害)

1 休業損害

2 後遺障害による逸失利益

3 死亡による一室利益

 

(慰謝料)

1 死亡慰謝料

2 入通院慰謝料

3 後遺障害慰謝料

 

(物的損害)

1 車両修理費等

2 評価損(いわゆる格落ち)

3 代車使用料

4 休車損害

5 雑費等

 

(その他)

1 弁護士費用

2 遅延損害金

 

 

最高裁平成22年9月13日判決

 交通事故に遭った時に、労災保険法に基づく各種保険給付や、公的年金制度に基づく各種年金給付を受けることがありますが、それらがいかなる損害に、どのように填補されたと評価すべきかを判断した判決です。

 当該判決は「被害者が、不法行為によって損害を受け、その後に後遺障害が残った場合において、労災保険法に基づく各種保険給付や公的年金制度に基づく各種年金給付を受けたときは、これらの社会保険給付は、それぞれの制度の趣旨目的に従い、特定の損害について必要額をてん補するために支給されるものであるから、同給付については、てん補の対象となる特定の損害と同性質であり、かつ、相互補完性を有する損害の元本との間で、損益相殺的な調整を行うべきものと解するのが相当である。」

 「不法行為による損害賠償債務は、不法行為の時に発生し、かつ、何らの催告を要することなく遅滞に陥るものと解されるが、被害者が不法行為によって傷害を受け、その後に後遺障害が残った場合においては、不法行為の時から相当な時間が経過した後に現実化する損害につき、不確実、不確定な要素に関する蓋然性に基づく将来予測や擬制の下に、不法行為の時におけるその額を算定せざるを得ない。その額の算定に当たっては、一般に、不法行為の時から損害が現実化するまでの間の中間利息が必ずしも厳密に控除されるわけではないこと、上記の場合に支給される労災保険法に基づく各種保険給付や公的年金制度に基づく各種年金給付は、それぞれの制度の趣旨目的に従い、特定の損害について必要額をてん補するために、てん補の対象となる損害が現実化する都度ないし現実化するのに対応して定期的に支給されることが予定されていることなどを考慮すると、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、これらが支給され、又は支給されることが確定することにより、そのてん補の対象となる損害は不法行為の時にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが、公平の見地からみて相当というべきである。」と判示しました。

 

最高裁平成24年2月20日判決

 人身傷害保険における保険会社の代位取得について、「本件約款によれば、訴外保険会社は、交通事故等により被保険者が死傷した場合においては、被保険者に過失があるときでも、その過失割合を考慮することなく算定される額の保険金を支払うものとされているのであって、上記保険金は、被害者が被る損害に対して支払われる傷害保険金として、被害者が被る実損をその過失の有無、割合にかかわらず填補する趣旨・目的の下で支払われるものと解される。上記保険金が支払われる趣旨・目的に照らすと、本件代位条項にいう「保険金請求権者の権利を害さない範囲」との文言は、保険金請求権者が、被保険者である被害者の過失の有無、割合にかかわらず、上記保険金の支払によって民法上認められるべき過失相殺前の損害額(以下「裁判基準損害額」という。)を確保することができるように解することが合理的である。

 そうすると、上記保険金を支払った訴外保険会社は、保険金請求権者に裁判基準損害額に相当する額が確保されるように、上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る場合に限り、その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得すると解するのが相当である。」と判示しました。

 

最高裁平成27年4月9日判決

 放課後の校庭でサッカーのフリーキックの練習をしていた当時11歳の子供が蹴ったサッカーボールが、校庭の外まで転がり出たため、ボールを避けようとしてバイクを転倒させた負傷者(後に誤嚥性肺炎で死亡)の遺族が、上記子供の両親を訴えていた裁判で、最高裁は「責任能力のない未成年者の親権者は、その直接的な監視下にない子の行動について、人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務があると解されるが、本件ゴールに向けたフリーキックの練習は、上記各事実に照らすと、通常は人身に危険が及ぶような行為であるとはいえない。また、親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は、ある程度一般的なものとならざるを得ないから、通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は、当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。」として、1・2審の判断を覆し、遺族の請求を棄却しました。