最高裁平成29年2月21日判決

 最高裁は、割賦販売法35条の3の13第1項6号に関して、以下のとおり、契約締結の動機に関する重要な事項についての不実告知も同号に該当する旨の判決を出しました。

「改正法により新設された割賦販売法35条の3の13第1項6号は、あっせん業者が加盟店である販売業者に立替払契約の勧誘や申込書面の取次ぎ等の媒介行為を行わせるなど、あっせん業者と販売業者との間に密接な関係があることに着目し、特に訪問販売においては、販売業者の不当な勧誘行為により購入者の契約締結に向けた意思表示に瑕疵が生じやすいことから、購入者保護を徹底させる趣旨で、訪問販売によって売買契約が締結された個別信用購入あっせんについては、消費者契約法4条及び5条の特則として、販売業者が立替払契約の締結について勧誘をするに際し、契約締結の動機に関するものを含め、立替払契約又は売買契約に関する事項であって購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実告知をした場合には、あっせん業者がこれを認識していたか否か、認識できたか否かを問わず、購入者は、あっせん業者との間の立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができることを新たに認めたものと解される。そして、立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても、それが販売業者の依頼に基づくものであり、その依頼の際、契約締結を必要とする事情、契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無、契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など、契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には、これによって購入者に誤認が生じ、その結果、立替払契約が締結される可能性もあるといえる。このような経過で立替払契約が締結されたときは、購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るのであり、購入者として保護に値しないということはできないから、割賦販売法35条の3の13第1項6号に掲げる事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても、同号の趣旨に反するものとはいえない。」